ずぼら女子奮闘記

ずぼら女子がリアルでは言えないことを吐き出すブログ。

クリームソーダの誘惑

目の前にクリームソーダがある。
人の少ない静かな喫茶店。昔ながらの雰囲気の中、ゆったりとした席でクリームソーダを頂く時間が至福である。
 
幼いころ、クリームソーダが大好きだった。
緑色のしゅわしゅわした液体の上にのっている真っ白なアイスクリーム。
口紅のようにちょこんと、でも確かに存在感を放っているさくらんぼ。
 
家族とお出かけしたときに「お茶にしようか」と入った喫茶店で、クリームソーダを頼むのが私の楽しみになっていた。
普段は飲めない、特別な飲み物。
健康のためにジュースもめったに飲ませてもらえなかった私が、たまにありつけるとっておきの飲み物。
目の前に置かれたときにどんなに目を輝かせていただろうか。
 
***
 
時がたって、少しお姉さんになってくるとめっきりクリームソーダを頼まなくなった。
「クリームソーダは子供が頼む飲み物」という謎の考え方が私の脳内を占める。
本当はクリームソーダが飲みたいのに、ちょっと背筋を伸ばして紅茶を頼むようになった。
お姉さんに見てもらいたかったのだ。
目の前でクリームソーダを飲む友人を見ながら少しだけ「いいな」という気持ちになるのに、その気持ちには気づかないふり。
「お姉さんぶって」いたのだ。今考えると笑ってしまう。
でも自然と、クリームソーダからは離れていった。
 
***
 
最近、クリームソーダへの熱が再来している。
大人になった今、私は親の許可なんて取らずに、自分の飲みたいときに、飲みたいものを頼むことができる。
自分のお金で、自分の時間をどう過ごそうが、だれにも文句を言われる筋合いはない。
 
静かな喫茶店に入り、メニューを眺める。
こだわりの珈琲や紅茶も誘惑してくるけれど、クリームソーダが放つ誘惑に勝ることはあまりない。
 
クリームソーダを注文する。20代の女がひとりでクリームソーダを飲んでいる。
傍から見たらそこそこシュールな絵かもしれない。
 
アイスクリームは、バニラアイスで。ソフトクリーム状になっているものもあるが、私は圧倒的バニラアイス派。
コメダ珈琲でバニラアイスのクリームソーダが提供されるようになったら鬼のようにリピートするだろう、ソフトクリームなのが個人的に残念な点である)
 
まずはメロンソーダを一口。その次にアイスをパクリ。
氷とバニラアイスが接している部分がシャリシャリになっていく。
バニラアイスをメロンソーダで溶かしながら少しずつ飲んでいく。
それぞれ単体で食べるのも美味しいし、混ざり合っていった後に食べるのも美味しい。
 
思いっきり体に悪そうな色をしているメロンソーダを飲みながら、思いっきり悪いことをしている気持ちになる。
まるでイタズラをしている幼少期に戻ったような気持ちになる。
 
最後に、残ったさくらんぼをぱくり。
いつもさくらんぼをいただくタイミングに迷う。迷った挙句、一番最後になる。
氷の下からさくらんぼを救い出して、ぱくり。
 
幸せの極みを感じながら、ごちそうさまでした。
 
クリームソーダの誘惑はすごい。
今日もクリームソーダの誘惑と闘いながら、生きていく。

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