通っている病院の近くに、気になるイタリアンのお店があった。そこは駅の近くの古い団地の中にある。
先週、お昼時を少しずらして行ってみたのだが、あいにく満席。地元の主婦たちが集っていた、ということはやはり人気店なのだなと思い、今度はもう少し時間をずらして来ようと思った。
今週、ダメ元でお昼時にそのお店を覗いてみたら、すんなり席に通された。先にいたのはサラリーマンがひとり。ものごとってタイミングもあるんだなと思う。
最近は、自分のお金の使い道について非常に考えてしまう。これにこれだけのお金をかける価値があるのか?と何度も自問自答し、納得できないと全ての行動を躊躇してしまうのだ。
仕事で忙しかった頃は、ほとんどそんなことを考えずに外食していたけど、そうもいかなくかった。極力節約して、外で使うお金を減らそう、といった意識が働く。
それでも、外でご飯を食べる機会もどうしてもあるもので、そんなときは極力安く済ませるか、美味しいご飯にそれ相応の金額を出して楽しみたいと思っている。食べることは元々すごく好きだから、全ての「食事」の楽しみを切ってしまうのは違うと思っている。
お店に入ると、愛想のいいお姉さんが席に案内してくれた。
パスタランチ、サラダとドリンクバーのセット。この規模のお店で、ドリンクバーは珍しいなと思う。
お皿に山盛りのサラダが運ばれてくる。ドレッシングが美味しい。
手作りのドリンクバー。烏龍茶、コーヒー、紅茶、オレンジジュース、アップルジュース。この歳になると、これだけで十分だと感じる。
程なくして、アラビアータが運ばれてくる。
トマトとフィットチーネ、上に唐辛子が乗っているだけのシンプルなアラビアータ。
ひとくち食べると、想像よりもピリッとした辛さとニンニクの香り、トマトのコクが口の中に広がった。
今まであまりアラビアータ、というパスタを食べたことがないけれど、今まで食べたアラビアータの中で一番美味しいなと感じた。これは、また食べに来たい、そう素直に思った。
あっという間に完食。
素敵なお店を見つけると、夜、お酒付きで行きたいなと思う。もっとたくさんの種類のご飯を食べたいなと思う。誰か誘える人はいるかな、と自然と脳内で探してしまう。
イタリアンが好きそうで、この雰囲気のお店を喜んでくれそうな人、お酒も少し一緒に飲めたらいいな、と。
食後にアイスコーヒーを飲みながら、スマホでこの文章を書いている。
個人経営のお店で、自分が最後のお客さんになったとき、どれくらいまでなら滞在していてもいいのか、なるべく迅速にお店を出るべきなのか、少しゆっくりしてもいいのか、ということを店員さんの雰囲気を伺いつつ、考えてしまう。このお店は、圧力を感じないから、それに甘えて、20分ほどコーヒーを飲みながら滞在。
こういったことをスマートにできるようになりたいと思うけど、それはまだ先になりそう。
アラビアータのソースを、フランスパンに付けて食べたらすごく美味しいんだろうな、と思った。
お店を出る時に「美味しかったです」と一言告げたら、シェフの方が嬉しそうな顔で「ありがとうございます」と言ってくれた。こちらもなんだか嬉しくなった。
ごちそうさまでした。