ずぼら女子奮闘記

ずぼら女子がリアルでは言えないことを吐き出すブログ。

学生時代の聖地:ファミレスの閉店

勉強をしていると、隣の席からポテトのいいにおいがしてきた。

ふわりと漂ってくる油と芋が融合した香り。ほんのりとケチャップの香りも。

炭水化物と脂肪の誘惑に耐えつつ、コーヒーを飲む。

 

高校時代にお世話になっていたファミレスが閉店してしまった。

学校から徒歩3分の場所にあったファミレスは、私たちの聖地だった。

土日の部活や試合帰り、文化祭の打ち上げなどで何度訪れたことか。受験時代は、退官された先生から英語を教えてもらったりもしていた。

高校生にとっては少し高い価格帯だったので、頻繁に行くことはできないファミレス。

大会や行事のイベントや、テストの打ち上げなど、すこし奮発するときに利用していた。

ドリンクバーで無限に粘る高校生に寛大な店舗だったと思う。まだぎこちない仲の頃、部活の女子全員で初めて行ったお店がそのファミレスであり、友人Aが友人Bに一目ぼれをしたお店がそのファミレスであり、数えきれないほどくだらない話をしたお店がそのファミレスである。母親もPTAの集まりで幾度となくお世話になったらしい。

 

閉店の情報がTwitter流れてきて、かなりのショックを受けた。閉店前にもう一度行っておきたくて、友人を誘った。

全国チェーン店なので、他の店舗に行けば同じ味の食べ物はいつでも食べられる。それでも、最後に高校の近くにあるその店舗で、最後のランチとドリンクバーを楽しみたかった。

久しぶりの友人、久しぶりの高校の最寄り駅、久しぶりのファミレス。3年間毎日通っていた(冗談抜きで年間350日は通っていたと思う、いや、下手したら360日のレベルかもしれない)高校の前を通り、目的のファミレスへ行く。

特に何をしたわけでもないが、ランチセットを頼んで、ドリンクバーを飲みながらおしゃべりをした。高校生の時は値段とにらめっこして、一番安いメニューばかり頼んでいた。社会人になった今、値段を気にせずに食べたいものを食べられるようになった。そんなささやかな成長にしみじみとしながら、数時間の時はあっという間に過ぎ去った。

 

現況報告、未来の話と過去の話。女友達とおしゃべりをしている時間はなんて楽しいのだろうか。最近学んだことやハマったコンテンツなどについても話した。自分の興味のあることに少しでも興味を示してもらえる、話を聞いてもらえることは嬉しい。

「だんだん周りに既婚者や子持ちの友人が増えてきて、なんだか遊びに誘いにくくなるよね」みたいな話をした。休日の貴重な時間を、家族以外の人間に費やさせてしまうのは申し訳なくて、遊びに誘うハードルが上がってしまう、と話したらとても共感してもらえた。こちらから遊びに誘って断らせちゃうのも申し訳ない、という罪悪感も生まれる。

無条件に毎日顔を合わせて遊んでいたあの頃とは、環境があまりにも違う場所にいる。

勝手に距離感や壁を作っているのは自分かもしれない。結婚したり子供を産んだとしても、あまり感覚は変わっていないのかもしれない。(いや、少なくとも子どもができたらめちゃめちゃ変わるのではないかと思う)それでも、自分がその立場になったことがないから、頭を使って想像することしかできない。

立場や環境が変わっても、互いを尊重して付き合える友人関係であればいいなと思った。

 

最近結婚した別の友人が、新居に招待してくれた。結婚しても、変わらず私と付き合いを続けたいですよ、パートナーにも紹介したい友人ですよ、というメッセージが込められているような気がして、なんだか嬉しくなった。少し緊張したけど、新たな友人の一面が見られた気がして、そして素敵な人と結婚したんだなと実感して、嬉しく温かい気持ちになりながら帰宅した。

 

少し時が経過するだけで、周りの環境はどんどん変化していく。

自分だけ取り残されているような気もするけど、そんなこともない。私もこの数年でずいぶんと変わった。「すだち」という人間自体は変わってないけど、自分の内面や努力していること、能力はずいぶんと変わったと思う。

私は私のペースで。大切な人の嬉しい話を心から祝福できる心の余裕を保ちながら日々を過ごしていきたい。