生理による機会損失について
昨日、クロ現のテーマが「生理の貧困」についてだった。食い入るように見て、気が付いたら30分があっという間に経っていた。
最低限の生理用品が購入できないことは明確な人権侵害だと思う。生理用品無しで生理期間を過ごすことを考えたら、ものすごく嫌な気持ちになるし、不衛生で、本当に何もできなくなると思う。
豊島区が防災備蓄品から生理用品の配布を開始したとのことで、もっと同じような動きが広がってほしいと思った。でも限定的で局所的に対処するのではなく、社会の仕組みとか制度とか、大きな変革に繋げないと、根本的な解決にはならないと思った。
個人的に「生理による機会損失」というキーワードが心に刺さった。
クロ現で取り上げられていた方の場合、生理用品が買えない→生理期間中は自宅のバスタオルの上で過ごすしかない→外出できない→学校や仕事、実習先に行くことができない→将来取得したい資格が取れないかもしれない、という機会損失が取り上げられていた。十分な量の生理用品が提供、入手できるだけの社会環境の構築はもちろん大前提であるし、そうなって欲しいと思う。
その上で、自分自身の「生理による機会損失」について考えてみた。
ベットの上でのた打ち回るレベルの生理痛、嘔吐、吐き気、貧血。病院へ行き検査をしても異常はないと言われる。鎮痛薬を使用するも、どのみち1,2日は活動不能になる。といった状態が高校生~社会人にかけて毎月続いた。学生時代は親が反対していたこともあり、低用量ピルの服用は考えなかった。親の反対を押し切ってまでピルを服用しようとも思わなかった。
学生の時は、学校を休まざるを得ないタイミングが何度もあり、授業を受け損ねた。
部活の大事な大会と生理が重ならないことを祈っていた。(祈るしかない)
大学の実験や実習の授業では、1日でも休むと単位がもらえないものがあり、身体を騙しながら行っていた。腹痛に苦しみ、脂汗を流しながら実験をしたこともあった。*1
実験棟のトイレで吐きながら実験をしたこともあった。工学系の学部だったのだが、当然のように教授も学生も男性ばかりだったので、生理でつらい、授業もキツイ、と話したり相談できる相手がいなかった。(数名いる女性の同期の友人と同じ班になれたらと思ったが、当然のように実験班で女子はバラバラに配属された)
「どうしてそんなにトイレ行くの?サボってるの?」と言われても、笑ってごまかすしかなかった。*2
試験も受け損ねたら単位を落とし、留年することになる。救済措置はないし、「生理で受けられませんでした」なんて話が通用するとも思わなかった。男世界の中、気難しい教授に交渉しに行くくらいであれば(仮に交渉したとして、何を言われるか考えたくもない)、這ってでも試験を受けに行く方がマシだった。
インターンシップや実習、就活の面接など、絶対に休むことができない日に対する恐怖はすごかった。どうか、生理が重なりませんように、生理がもし重なったら人生が終わる、それくらいの気持ちだった。
楽しみにしていた旅行と重なると悲しい。友達が部屋で夜更かししてる中、ベットに臥せるしかないもどかしさ、悲しさ、悔しさ。あまりの腹痛でもだえているわたしの姿を見た友人はドン引きしていた。「そんなにお腹痛いの?救急車呼んだ方がいい?」と。
社会人になってからも、当然ながら希望した業種は男社会。上司も同僚も、同じチームのメンバーは全員男だった。学生時代の反省を活かして、生理であること、生理痛が重くてつらいことはあまり隠さずに仕事をした。大きな声で主張するわけではないが、生理について最低限のことは伝えられるような関係を構築できるよう努力した。上司には素直に「生理痛で体調が悪いです」と伝え、車の運転を変わってもらったりした。幸いなことに、理解がある上司や同僚だったので*3生理絡みでセクハラを受けることはなかった。職場の上司や同僚には感謝してもしきれない。
とはいえ、嘔吐や腹痛が酷い日には仕事を休まざるを得ないときもあり、迷惑をかけることに対しての罪悪感や申し訳なさは、計り知れなかった。自分で日程が調整できる会議などは、できるだけ生理の日と重ならないように調整した。それでも仕事だとどうしても休めない日はある。無理して職場へ行き、駅で倒れたこともあった。
「社会人であるなら、体調管理も業務のうち」という言葉がある。自分の体調がコントロールできないことに対して、悔しくて泣いた。女性として生まれたことに対して、何度も何度も嫌だと思った。男に生まれたかった。
学生時代の授業、実習、インターンシップ、就活、社会人になってからは仕事上で機会損失していることは多いように思う。生理前後の日には予定を入れないようにしている。勉強会や飲み会など、強烈に惹かれる内容だったとしても、キャンセルする可能性を考えて見送った出来事は多い。「生理が被るかもしれない」「出先で倒れるかもしれない」「周りの人に迷惑をかけるかもしれない」といった予期不安は強烈だ。自分の身体に刷り込まれている。
今月も生理予定日の2日前くらいからは遠出をしていない。*4何かあっても自力で帰れる範囲で、最低限の用事を済ませる。自動思考が働く。もったいないと思う。結局今日も生理が来なかった、じゃあこれもできたじゃん、あそこにも行けたじゃんと。後悔した回数を数えようとも思わない。
先日、重い腰を上げて婦人科へ行った。低用量ピルをもらった。今月か来月から飲み始めようと思う。もう大人だし、自分の頭で考えて、行動に移して生理の問題を解決したい。
生理の貧困と生理痛の重さの問題は分けて考える必要がある思う。まず解決すべきは、生理の貧困だ。生理の貧困で苦しんでいる人は、薬を購入する余裕さえないだろう。病院へ行くことも。早く解決されて欲しいし、自分にできることがあればなにかしたいと思う。生理による機会損失が、生理の貧困に起因するものであれば、早急に解決されて欲しい。もったいない。若い人たちが、生理用品を購入できないことで機会を喪失しているのではれば、こんなにもったいないし悔しいことはない。