お店選びの最適解
東京の反対側に用事があって、電車に乗って2時間近くかけて出かけた。用事はすぐに終わり、時間もあるのだから滅多に行かない反対側をふらふらすればいいのに、わたしは用事が終わった瞬間すぐに電車に乗り、自分が暮らしている場所へと帰った。
どうしてなんだろう、と思う。
5月だとは思えない暑さも影響しているけど、人が多いからとか、疲れちゃうとか、いつも出てるジムのレッスンに出たいからとか、いくらでも理由は出てくる。そんな理由もあるけど、深層心理でどうしても「いつもの土地」が心地いいと感じる自分がいる。
人の量、街の空気、ほどよい心地よさ、知っている店、いつもの道路。どこになにがあって、ここのお店が美味しくて、本屋はここ、ドラッグストアはここ、魚はここ、お肉はここ、そうやって自分のマップを少しずつ更新してきた。マップの更新がどんどん進むのは今暮らしている街だ。この土地を離れ難くなってしまうほど、愛着が湧いている。
いつか離れるんだろうなとは理解しているけれど、やっぱり愛着がある。次に離れるときはもう永遠の別れになるかもしれない。そう思いながら過ごしている。
大人になって、友達と会うときは飲食を共にすることが多くなった。
わたしはお店選びをするときに、わりと多くのことを考える。
お酒が飲めるor好きな子か?
飲める子だったら好きなお酒はなにか?
ビール?ワイン?ウイスキー?日本酒?焼酎?カクテル?
飲めない子だったらノンアルが美味しいお店がいいか?
それともご飯の美味しさに振り切って美味しいカレー屋とかレストランにするか?
ご飯にあまり頓着はなくてとにかくコスパを重視するか?
苦手な食材があるか?
逆に今までの経験で大喜びしてくれる料理があるか?
インスタ映えするようなお洒落なお店を好むか?
すこし汚くてごちゃごちゃしててもご飯やお酒が美味しければ大歓迎な子か?
話が盛り上がってすこし声が大きくなっても問題ない店にするか?
逆に周りがうるさいと会話が大変だから静か目なお店にするか?
体調は大丈夫そうか?食欲はありそうか?
あまり良くないなら胃に優しいご飯の選択肢があるお店にするか?
駅から遠くても喜んで一緒に歩いたり食後の散歩が好きなく子か?
できるだけ駅チカの方が嬉しい子か?
絶対的に禁煙を希望する子か?喫煙席でも大丈夫な子か?
…などなど。
考えすぎだろうか。わたしは友達と行く飲食店を事前に調べるときは上に書いたことをわりと自然に、無意識のうちに考えている。
せっかく会うなら美味しいご飯をお互いが満足しながら一緒に食べたいし、ゆっくりおしゃべりできるお店がいい。
日本酒とツマミで感動を分かち合えるなら一緒に感動を分かち合いたいし、「たくさん食べたのにこの値段なの?!」ってコスパの良さにびっくりしたいし、たまには背伸びして「これだけ美味しいなら全然お金もっと払うわ」くらいの気持ちになれる美味しいものを食べに行きたい。
「いいお店教えてくれてありがとう」って言われるとけっこう嬉しい。
別に自分はグルメなわけでもないし、毎週新しいお店を開拓してるとか、雑誌を読んでるとか、そういうわけでは全くないけれど、普段の行動範囲内で「このお店当たりだ!」って場所を見つけるとすごく嬉しくなる。
最近はお店に行ったとき「そこそこの人数を集めて貸切パーティができるか?満足度は高いか?ご飯やお酒は美味しいか?喫煙者、非喫煙者ともに快適に過ごせそうか?」などといったことを自然に考えてしまう。
結婚ラッシュがはじまっている。
結婚式をする子としない子、今のところわたしの観測範囲内では半々くらいだ。
結婚式をしない子のお祝い会的な飲み会を企画する機会が増えそうな気がしている。
(↑やたら「会」が多い一文だ。)
今も飲み会を企画しているのだけど、お店選びがとても難しい。わたしの普段の行動範囲内であればすぐに候補はいくつか出てくるけど、知らない土地は難しい。ネットの情報も取捨選択がとても難しい。
価格帯と参加者の満足度、それなりのバランスを考えるといくら探してもキリがない。でもせっかくならみんなに喜んでもらえる会にしたいし、ノンアルの子たちもご飯や飲み物でちゃんと満足してほしい、そんな風に思う。
お店選びは一種の愛情表現だ。
わたしはそう思っている。どんなお店を選んだら相手が喜んでくれるか、一緒に楽しさを共有できるか、そんなことを考えている時間は楽しい。
いろんな意味で「当たった」ときの嬉しさといったらない。自己満足かもしれないけど、そんなことを考えながらわたしは今日も美味しいご飯を食べて喜びを感じる。